カビは日常のあちこちに潜んでいます。

食品、建築物、衣類や小物…

そして我々が職業柄度々出くわすのが椅子です。


オフィスには多くの椅子が置かれています。日常的に使用されているものも勿論ですが、
意外に盲点なのが、倉庫などバックヤードに保管され続けている日常的に使用されていない椅子です。
人目に触れることなく、特にじめじめした梅雨にはカビの繁殖にはうってつけであり、
いざ必要な時になって引っ張り出して来たらカビまみれ…という事態も珍しくありません。

これまでカビの生えた椅子をクリーニングする機会は何度かありましたが、
多くは椅子の保管方法の杜撰さが故に起こってしまった結果でもあります。

実は日常的に少し気を使うだけでカビの繁殖は食い止めることが可能です。
当記事では少しでも皆さんにカビに関する知識を知ってもらいつつ、
実際カビの生えた椅子がクリーニングでどれほどきれいになるかを
写真付きでご覧になっていただければと思います。

カビの繁殖に必要な4大要素

カビは繁殖するために適切な以下の要素が必要とされています。

①湿度
②栄養
③温度
④酸素

これらのどれか1つの対策をすることによってカビの繁殖を防ぐことができるといわれています。
しかし、どれも我々が生活するうえで欠かせないものばかりですね。
これらのそれぞれの繁殖条件と我々ができる対抗策をご説明しましょう。

ー①湿度

カビは多湿を好み、梅雨から夏にかけて繁殖が最も多くなるといわれています。
人間が生活する上での理想的な湿度は40~60%であることに対し、
カビは60%を超えた場合に活動条件を満たし、繁殖への大きな要因となります。
人間が快適に生活するためにも、カビの活動を阻害するためにも、
湿度を60%未満に抑えることが我々にとって最良の対抗策ということになりますね。

効果的に簡易的に湿度を抑えるための方法の1つとして挙げられるのが「換気」です。
閉め切った倉庫、空き部屋にて放置されたカビが生えた椅子を見たことがありますが、
どれも埃っぽく、換気がされていないようなイメージを受ける室内がほとんどでした。
日常的に使用されない部屋だったとしても定期的に窓を開ける換気扇を回すといったことにより、
空気の通り道を作ってあげて空気の循環を行い、カビの繁殖を防止することが可能となります。

もう1つ簡易的に湿度を抑える方法は「除湿機」の使用です。
空気中に含まれる過剰な水分を取り除いてくれるこの文明の利器をオフィスに置く企業も多々見受けられます。
また、昨今は空気清浄機の機能を兼ね備えた除湿機も多くなってきています。
埃なども一緒に除去すれば後述する別の理由からもカビの繁殖を防止することもできます。


ー②栄養

カビは様々なものを栄養源とします。
木、皮脂、虫の死骸、料理、化学合成品…etc
つまりは、植物由来のもの、動物由来のもの、人工的なもの、なんでも栄養源としてしまい、
また、それらは人間に知覚できない微量な量だったとしても繁殖の条件を満たしてしまうのです。

栄養のカテゴリに関して言えば、我々が日々行っている掃除が対策に当てはまります。
埃、髪の毛、食べかす…知覚しにくいこれらは、
日常的な掃除機掛けでも回収することができ、確実に効果があります。
しかし、日常的に使用していない空間では清掃頻度が少なくなってしまうのは仕方のないことです。
頻度は少なくなったとしても定期的な清掃は欠かさず行うことが繁殖予防の第一歩となりますね。

ー③温度

カビの活動可能温度は0~40度で最適温度は20~30度であるとされています。

日常的に室内温度を0度未満、または40度超えにするのは現実的ではないため、
室温においてカビの繁殖を防ぐことは難しいですが、カビの発生率が高い浴室では予防として
熱湯を浴室内にかけ、室温を高めるという方法もあります。

ー④酸素

カビは人間と同じく酸素がなければ生存できないとされています。

こちらも温度と同じく日常生活で対抗策を講じるのは難しいですね。


4大要素のうち、湿度栄養に関しては我々でも対抗策を講じることが
可能であることが伝わったのではないでしょうか?

日常的に使用される部屋では人の往来があることから換気がされ、清掃が行われる頻度も多くなり、
カビにとって繁殖要素である湿度、栄養源は一定水準を満たすことは少なく、
予防できているかもしれませんが、日常的に使用されない倉庫を例としたエリアは
空気の入れ替え頻度が少なく、清掃もままならないと
梅雨のように雨が多く湿度が高くなりがちな時期はまさにカビの繁殖要素が揃った環境になってしまいます。

カビは知覚できるようになる前から対策を実施していなくてはいけません。
あなたの身の周りに“カビの繁殖に必要な4大要素”が備わっている空間、ありはしませんか?

カビまみれの椅子をクリーニング

前述したとおり、我々は職業柄カビが付着した椅子をクリーニングすることもあります。
というのも椅子の主な汚れの原因である人の手垢はカビにとって栄養源となり得てしまい、
それに加えて倉庫に保管されているような日常的に使用されていない椅子は
湿度も繁殖水準を満たしていることが多く、長期期間放置され、気づけばカビだらけ…
という状況に陥ったお客様が少なくないからです。

お客様の多くはカビがクリーニングで奇麗になるかを気にされますが、
結論から言うと、基本的に問題なく奇麗にできます。

実際に過去にクリーニングしたカビが付着した以下のような椅子がありました。
座面手前に見える白い斑点のようなものが全てカビです。

これを以下のように洗剤を散布し、ブラッシング作業で汚れを浮かし…

水で濯ぎながら汚れを回収すると…

このように新品同様の見栄えに!

例として挙げた写真のカビは白カビという我々が日常的に目にしやすいものですが、
根付きが深すぎない、表面に巣くうこれらは問題なく除去することができます。

椅子のクリーニングはカビが生えた後に実施することも効果的ですが、
予防策として実施することもとても効果的です。
日常的に使用されている椅子に定期的なお手入れをすることにも、
しばらく使われないからと裏方に引っ込める前に一度クリーニングを行うことにも適しています。


カビの性質を理解して、より実感できることは完全に予防することは不可能であることです。
繁殖に必要な要素が全て人間が生活する上で欠かせないものであり、
可視化できない観点が多すぎることから導き出せる結論は
”カビは生える時は生える”ということです。当たり前すぎることですがね。

かといってカビは見栄えも悪く、健康面にも悪影響を与えることから放置していいものではないのも事実です。
布張り製品、特に椅子のクリーニングに関しては、
予防という観点でも我々がお手伝いできることは多々あるかと思います。
是非一度検討してみてはいかがでしょうか。